今回は、大学受験の数学IA・IIBのおすすめ問題集・参考書をご紹介します。
今回の記事では、皆さんが一度は聞いたことがあるであろう問題集・参考書を、幅広く支持されているからこそ高いクオリティについての説明や、効果的な使い方を交えながらご紹介しています。そのため、真新しい参考書の情報は少ないかもしれません。
この記事ではチャート式や基礎問題集精講といった有名な参考書が紹介されていますので、そういったありふれた参考書が基礎レベルに最適なのかどうか疑問に思う方がいらっしゃるでしょう。
しかし、チャート式や基礎問題集精講こそが、大量にある他の参考書の中でも数学の基礎力形成に最適な参考書となっているのです。
なぜ最適なのかという理由も合わせて紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
また、メジャーな参考書は、非常に知名度が高い故にそれを使うべきタイミングや、その参考書の本来の役割を見誤ってしまっているという人が多いのではないでしょうか。
今回の記事では、「チャートや基礎問題精講といった参考書がどういった役割を担っていて、勉強のどの段階で使用するべきなのか」や、「今のレベルにあった問題集はどれなのか」といった疑問にフォーカスし、「なぜメジャーな参考書こそが基礎レベルの勉強に最適なのか」を突き詰めて議論していきます。
ぜひご参考にしてみてください!
基礎網羅系
●解法と演習:チャート式数学IA・IIB
●基礎からの:青色チャート数学IA・IIB
網羅系参考書鉄板のチャート式シリーズの一冊です。
レベルが高い順に赤、青、黄、白の4冊があります。
画像に出ているのはそれぞれ「黄チャート」「青チャート」とよく呼ばれています。
数学の問題を解けるようになるためには、思考力や計算が必要なのはもちろんですが、それに加えてある程度の「問題のパターン」を知っておく必要があります。
問題のパターンとは具体的にどのようなものなのでしょうか。
入試などに出題される数学の問題は、大学のレベル帯にもよりますが文部科学省の指導要領に沿って特定の分野から出されているため、問題を作成できる範囲が限られています。
さらに、入試は毎年大量の大学が場合によっては学部ごとにまで問題を新たに作っているため、パターン化せざるを得ません。
ですので、出題されるパターンをある程度網羅しておくと、初めて解く問題でもパターンを当てはめることによってすんなりと解法を思い浮かべることができるようになります。
ただし、これは決して数学を暗記で解くという方針を推しているわけではありません。
「パターンを習得する」というのも、ただ暗記するだけでなくそのパターンのメカニズムを理解した上で覚えていくことになります。
これは、結局数学の問題を解く時にはパターンを応用していくという作業になることが多いからです。
パターンを理解することで応用ができるようになり、複数のパターンを組み合わせることで難しいと言われている問題も解けるようになることができます。
「チャート式」は基礎的な問題のパターンを十分な数網羅しており、これに収録されている問題よりも難解なものを解くための基礎づくりに大いに活躍します。
・どの色を選べばいいかについて
チャート式は一般的にも言われていることですが、黄色または青色を使用することが推奨されます。
数学にあまり自信がなければ黄色、逆にある程度数学ができると考えている人は青色、という選び方で問題ないと思われます。
というのは、結局どちらの色を選んでもそこまで変わらないという側面があるからです。
網羅形参考書は結局基礎固めに過ぎず、それから先の高度な演習などに関してはよりハイレベルな参考書を使えばいい話であり、基礎の段階では黄色も青色もそこまで差はありません。
ですので、レベル差があるとはいえど網羅形参考書を使う目的から考えるとそこまで差はないため、現時点で自分の数学の実力はどれくらいあるかという視点だけで考えて問題ないでしょう。
その他の色があまりおすすめできない理由としては、
- 「白」は少し扱っているレベルが低く、今後につなげられるほどのパターンが網羅できない可能性がある。このレベルで困難を感じる学力であれば、もう一歩下がって学校や塾の授業をしっかりと聞き、初歩問題を解けるようにする必要がある。
- 「赤」は逆に難易度が高すぎるため、パターン習得の以前にそもそも解けない・理解できないということにつながり学習効果が最悪ゼロになる可能性がある。
のようになります。
もちろん、本当に初学の段階でする場合などであれば白や赤も有用ではありますが、長期的に使用するのであれば黄か青を選ぶのが無難であると言えるでしょう。
【効果的な使い方】
チャート式に収録されている問題は今後数学の問題を解いていくための基礎・土台となります。
ですので、一番解説の詳しい例題に関してはできるだけわからない問題が一つも無くなるまで繰り返し解いていきましょう。
問題演習系
「基礎問題精講」・「標準問題精講」は、問題集です。
チャート式などの網羅形参考書と比べると、よりコンパクトかつ問題が実戦的(入試本番に出てもおかしくない)であるのが特徴です。
一題一題見開き2ページ使っていることが多く、非常に解説が丁寧な上にわかりやすいことが特長で、幅広く支持されている問題集です。
上でご紹介した網羅系参考書を一通り終えたら、こちらに移行して実践的な演習を積むことで基礎レベルをマスターすることができます。
標準問題精講は基礎問題精講義の上位版的な位置付けですが、黄色チャートから基礎問題精講に移行し、そこから標準問題精講に移行することは十分可能です(体験談)。
【効果的な使い方】
まずは一周例題を全て解けるまでしっかりやってみましょう。
それが終わったら、実戦演習に応用するため各例題に付随している演習問題を制限時間付きで解いてみましょう。制限時間は、
その他
「合格る計算」は、その名前からわかるとおり入試で得点に繋がる(=効率が良かったり、時間短縮になる)計算方法を習得することを目指す参考書兼問題集です。
学校の授業やこれまでにご紹介したような普通の数学の参考書では問題を解くための計算は定義通りに丁寧に行われることが多いですが、制限時間が厳しい入試本番では無駄が多く、時間をロスしてしまうことにつながりかねません。
そこで、この問題集が目指すのは、合理的だけど実際の入試で身につけておくととても役立つ計算テクニックをマスターすることです。
具体的には、
- ただ四則演算を効率化するためのテクニックだけでなく、三角関数、微分積分、ベクトル、図形、数列などさまざまな分野で使える技が紹介されている。
- 問題の解説に書かれている途中式も、入試本番ではできるだけ省略するところは薄字で書かれているなど、効率良い計算をするための感覚を身につけられる工夫がなされている。
- 話し言葉で書かれていたりわかりやすい独自の書き方で説明されている部分が多く、講義を受けるような感覚で学習が進められる。
など、さまざまな良い点があります。
基礎を網羅し、問題演習を積み、さらに得点効率を上げるカギとなる計算力を磨くことで、数学の基礎力を確実に身につけましょう。
【効果的な使い方】
本書の序章で使い方に関する説明があり、最初から1章ずつこなしていったり、苦手な分野だけ中心にやっていくなど、人それぞれに合ったやり方で進めることが推奨されています。
また、大事なのは、こうした計算練習を習慣化させることです。
毎日のように継続して計算練習やその復習をしていると、紹介されている多くの計算テクニックを体で覚え、感覚を早めに身につけることができます。
この参考書を利用する際はこのポイントを意識して計画立てていくことが重要です。
おわりに
今回ご紹介した参考書をしっかり仕上げることができれば、入試に必要な基礎力はほぼ完全にマスターすることができます。
模試では偏差値65程度まで、共通テストでは満点が狙えるほどの実力は身につくと言えるでしょう。
磐石な基礎力を確立することができたら、次はさらにハイレベルな問題集にチャレンジしたり、志望校の過去問などに触れてみることをお勧めします。
ここまで読んでいただきありがとうございました!