この記事では、早稲田大学政治経済学部が2021年度入試から導入した総合問題の対策を取り上げます。
前代未聞の形式であるため、対策に悩んでいる受験生が多いと思いますが、問題の傾向、解き方、普段の学習の上での対策など、知りたい情報をなるべく詰め込んでいますので、受験を少しでも考えている方はぜひご一読ください!
初めまして、「受験勉強のエッセンス」運営者の田中悠佑(たなかゆうすけ)です。
早稲田政経に現役合格した経験を基に早稲田政経に合格する方法をお伝えしていきます。
早稲田政経入試の実態(2020年以前)
- 外国語:90点
- 国語:70点
- 選択科目(日本史、世界史、数学IAIIBから1つ):70点
合計200点満点
従来の早稲田政経の試験は非常に高いものとなっており、全科目に共通する特徴として標準的な難易度の問題が多いが量が多く、時折解きにくい者が混ざっている上に試験時間がタイトなために、非常に高い処理能力が要求されるということがありました。
本学部は東大をはじめとする最難関国立大学の併願校として志願されやすい傾向にあり、そのため受験者のレベルも高く合格最低点が7割を超えるなど非常に厳しい戦いとなっていました。
早稲田政経入試の実態(2021年以降)
早稲田政経の入試は2021年度から大幅に改定されました。以下で詳細を紹介します。
早稲田政経入試の特徴
早稲田政経入試の最大の特徴は共通テスト受験が必須で共通テストと政治経済学部独自試験(総合問題)の合計点で合否が決まる点です。
学部独自試験においては政治経済学部HPで「日英両言語による長文を読み解いたうえで解答する形式とし、記述式解答を含む。」と説明されています。
要するに従来の3教科で済む試験は廃止され、共通テストが課されたことに加えて、これまでとは異なる形式の独自試験を受けなくてはならなくなった、ということになります。
こうした大胆な入試改革が行われた事実を聞くと、「私立の文系なのに共通テストが必須な上、これまでの教科に当てはまらない得体の知れない独自試験も受けなきゃいけないなんて….」などと思い、敬遠ぎみになってしまうのではないでしょうか。
実際にそう考えている受験生は多いでしょう。というのも、2021年度の早稲田政経への出願者は前年比で3割も減少していたのです。 (定員も450人から300人になったので倍率はあまり変わりません。)
政治経済学部が公開しているデータなどをみる限り、受験者のレベルの高さや合格最低点に大きな変化は見られませんでした。
ですが、少々難し目の問題をテキパキと処理していかなくてはならないような事務処理能力が問われる傾向は弱まったように見受けられます。それは、総合問題の問題傾向によく現れています。
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早稲田政経入試の配点・内訳
現在の早稲田政経の新入試は共通テスト100点満点+学部独自試験(総合問題)100点満点の合計200点満点で合否が決まります。
共通テストの配点(100点満点)
- 外国語(英語、フランス語、ドイツ語のいずれか):25点←200点満点を25点に換算
- 国語:25点
- 数学ⅠA:25点
- 選択科目(数学ⅡB、理科、地歴公民のいずれか):25点
学部独自試験(総合問題)の内訳(100点満点)
- 大問1:日本語長文読解+意見論述(200字以内)
- 大問2:英語長文読解
- 大問3:英作文(意見陳述、100wordsほど)
早稲田政経入試の合格最低点
早稲田政経入試(共通テスト100点満点+学部独自試験100点満点)の合格最低点は以下のようになっています。
年度 | 学科 | 合格最低点 |
2021年度 | 政治学科 | 148点 |
経済学科 | 156点 | |
国際政治経済学科 | 151点 | |
2022年度 | 政治学科 | 152点 |
経済学科 | 155点 | |
国際政治経済学科 | 155.5点 |
政治経済学部はこれまで毎年経済学科>政治学科>国際政治経済学科の順番になることが多かったのですが2022年度は国際政治経済学科が奮闘しています。
早稲田政経の定員と志願者数と合格者数
早稲田政経の一般選抜の定員は政治学科100人、経済学科140人、国際政治経済学科60人の計300人です。
しかし早稲田政経に合格しても東大や京大などの超難関国立大に行ってしまう人がいるので定員よりも多めに合格者数を出しています。
年度 | 学科 | 合格者数 | 受験者数 |
2021年度 | 政治学科 | 261 | 870 |
経済学科 | 331 | 2137 | |
国際政治経済学科 | 138 | 488 | |
2022年度 | 政治学科 | 252 | 252 |
経済学科 | 312 | 312 | |
国際政治経済学科 | 133 | 133 |
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早稲田政経入試問題の概要
以下では早稲田政経の学部独自試験の各設問の概要を説明していきます。
大問1の概要(日本語長文読解+意見論述)
日本語長文読解の文章は現代文の中にグラフや表が本文中に多用されている形式となっています。
設問も数学的な思考を用いて正答を導き出したり適切なグラフを選択するなど、通常の現代文にはあまり見られないような問題が増えました。
ただし、現代文の技能が通用しないのかというと全くそういうわけではなく、本文を根拠に選択肢を絞り込んでいくには現代文の問題を解いて経験を積んでおく必要があります。
あくまでもベースは現代文であり、グラフや数理的思考を用いるものは数学IAを勉強しているはずですので、形式慣れさえすれば悩むほどのものではないでしょう。
大問2の概要(英語長文読解)
大問2は英語長文ですが、2000wordsを超える非常に長い文章が出題されます。こちらはグラフや表などは用いられておらず、以前と変わらない英語力が測られているといってもよいでしょう。
具体的な問題としては前後の文脈から推測する穴埋め問題がほとんどで、内容一致問題や空欄に適切な文章を日本語で書かせる記述問題など、難易度が高めのものが少量といった配分になっています。文法問題は出題されていません。
テーマはサンプル問題では「途上国への援助/幸福の尺度」初年度の試験では「動物に関する倫理」でした。一見違うテーマに見えますが、公共哲学的なテーマであるという点である程度共通点している部分があると考えられます(知っておく必要はありません)。
大問3の概要
大問3は英作文です。与えられたテーマに対し自分の意見を100字程度で記述させる問題であり、これまでの政経の英語の英作文問題の形式を踏襲しています。
「この問題に15分以上かけないことを推奨する」という注意書きがあった事を踏まえると、大問1と2で105分も割けるということになります。
こちらも社会的なテーマが中心に出題されます。
すべての大問に共通して言えることがあり、難問は基本的に出題されないということです。
それぞれの小問も細かい知識を試す問題や、処理能力を問う内容ではなく、むしろ提示されているデータを時間をかけてじっくりと理解し、適切に選択肢を絞ったり記述で回答するなど、思考力を試すことにに重きを置いている内容になっていると言えます。
総合問題の平均点は初年度はおおよそ7割でしたので、早慶の他学部と比較しても高めに出ています。
早稲田政経入試の対策法
以上のポイントを全体的にまとめると、従来の試験と比べ対策の負担がかなり減ったという特徴が見えてきます。
共通テストは人によりますが、少なくとも総合問題に関しては現代文と英語を組み合わせただけのような試験であるため、以前のように細かい歴史や古典の知識を暗記したりする必要がなくなりました。
総合問題への対策の上で重要となるポイントをまとめます。
まずは基礎学力を身に着ける
前例が通用しないような試験に見える総合問題ですが、実はそんなことは全くありません。
総合問題は結局のところ日本語や英語がきちんと論理的に読めて解答が出せるかという試験であり、それは一般的な大学入試で問われるものと何ら変わりがありません。
したがって、現代文や英語、英作文などを普段から徹底的に学習していれば、形式さえ合わせればすでに高得点が取れている状況になっていると期待して良いでしょう。
グラフ読み取り
グラフの読み取りが要求されるとのことでしたが、折れ線グラフやヒストグラムを読むことは本学部の受験者であればできない人はいないでしょう。
ただし、そこから正確に情報を素早く拾い上げ、解答に繋げるには普段からそうした練習を積み上げておく必要があるでしょう。
その対策として、数学I・Aのデータの分析の分野をしっかりと見ておくことが効果的です。本学部では共通テストで数学I・Aが課されているので、一石二鳥になりえます。
また、グラフの話からは少し逸れますが、サンプル問題では政治学で使用される専門的な数学の知識が紹介されており、今後はよりハイレベルな数学的思考を要求してくる可能性もあります。
記述問題への対応
大問1では意見論述や。これには小論文の対策が効果的であると考えられます。筆者は慶應義塾大学の対策も行なっており、それがかなりこちらの記述に役立ったと実感しています。
要求字数が200程度であるとすると、課題文が用意されていて自分の意見論述をする問題(慶應大・経済学部など)が用意できれば絶好の練習素材にできるでしょう。
また、大問3の英作文は以前の政経の英語で出題されていたものと同一の形式ですので、20年近く遡って問題演習をすることができます。
時間配分
問題を解く時間配分を事前に決めておくのは非常に大事なことではありますが、それにこだわりすぎると本番で問題傾向が変わった際に対処できなくなるのでほどほどにしておきたい部分もあります。
しかし、大問の区切りが大雑把で試験時間も長いため、比較的時間配分を事前に決めやすいというポイントはあるでしょう。
まず大問3の英作文がかつての形式と全く同じであることと、そちらに「15分以上かけないことが推奨される」という注意書きがあったことを考えると、この大問は15分以内(かけても20分)程度で終わらせることを目標としましょう。
そうすると残りの105分を2つの大門に割けるため、比較的余裕を持って解答することができます。如何せん問題数が少ないため1問あたりの配点が大きく、一つの選択肢を落とすだけでそこそこの割合を持っていかれることにつながりかねないため、選択問題にも時間をかけて慎重に取り組みましょう。
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早稲田政経入試が向いてる人は?
冒頭では一部の人には有利な受験方式になったと書きましたが、このパートでその意味を説明していきましょう。
結論から言うと、早稲田政経の入試は東大・京大・一橋など最難関国立の併願者に有利になりました。
この層の受験者層は、(1)元々共通テストの対策を万全にしており、(2)記述問題にも十分慣れているし、(3)形式がシンプルなので私立対策に時間を割きたくない人でも受けやすい というように、さまざまなアドバンテージを持っているため、本学部をこれまでにも増して受験しやすい状態になっています。(ただし、早稲田政経は例年国公立の受験日程に近い日に入試を行うため、これが原因で避けるという人はいるかもしれません)
私立専願の人は早稲田政経を避けるべき?
では私大専願の人はただただ不利になっただけなのか!?というと、それは場合によります。
そもそも私立文系専願の人は数学を苦手としている場合が多いため、数学が必須となっている新入試は受けづらくなったと基本的には考えられます。一切数学ができないという人にはあまり受験は推奨されないかもしれません。
しかし、最低限数学を使わなければいけないのはあくまでも共通テストのI・Aだけ(しかも全体の配点のたった12.5%)であるという点を忘れてはいけません。
共通テストは基礎的な問題がほとんどであり、地道に対策していけば戦える点数に仕上げていくことは可能ですし、突出した点数にならなくても配点が比較的低いため他の科目で十分カバーできる範囲となっています。
共通テスト利用入試など、幅広く応用することも可能ですので、英国数型の私立専願の方だけでなく、数学をやっていない人でも早稲田政経のために数学I・Aの対策をするというのは十分検討する価値があるでしょう。
専願の方の更なるアドバンテージとしては、国立志望の受験生よりも総合問題の対策に時間が割けるという点があります。
さらに、この入試改革の影響で倍率が大きく下がっていますので、他の受験生が敬遠している中あえて受けにいくというのは一つの有効な手段と言えます。
結論としては、国立志望者も私大専願者のどちらもこれまでと同様に志望する価値が高く、さらに場合によっては受験のハードルが下がったと言えるでしょう。
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早稲田政経新入試で注意すべきこと
以下では早稲田政経の入試で注意すべきことをまとめましたので確認してください。
模試の共通テストボーダー得点率
共通テスト模試や全国模試などで早稲田政経を志望校判定すると、ボーダーがかなり高く(90%くらい)なっているでしょう。
ですが、これには致命的な欠陥があり、政経の試験の配点200点中の100点分しか合格判定に使われていないのです。
実際に筆者の共通テスト得点率(英国数IAIIIB)は82%程度と到底ボーダーには及ばず、E判定連発の惨状でしたが、総合問題の出来がよかったために合格しています(得点開示はされませんが、8割5分以上は取れている実感はありました)。
模試の判定が悪かったとしても合格する確率は十分ありますのでとりあえず受験してみるのはありです。
数学必須化
早稲田政経の2021年度以降の入試では共通テストが必須化され、同時に数学ⅠAの受験が必須となりました。
これは経済学を勉強するために数学を勉強してきた学生が欲しいという早稲田政経の意思表示です。
もちろん数学ⅠAの配点は200点満点中25点なのであまりいい点数がとれなくても英語や国語で取り返せば問題はありません。
しかし早稲田政経に合格する人たちは東大や京大にあと一歩だったという人たちばかりでかなりレベルが高いです。
また100点満点の学部独自試験でも数学的思考が求められますし、早稲田政経に合格したとしても入学後の授業で数学は必須です。
高得点を出す必要はありませんが共通テスト数学ⅠAである程度の点数がとれるように数学ⅠAも勉強しておきましょう。
早稲田政経には共通テスト利用入試もある
早稲田政経の入試には一般入試だけでなく共通テスト利用入試もあります。
ただし早稲田政経の共通テスト利用入試は共通テスト利用入試の中で最難関で、東大や京大に余裕で合格できる人ばかりが合格します。
以下の記事で早稲田政経の共通テスト利用入試の詳細情報を紹介していますので興味がある人は読んでみてください。
まとめ
早稲田政経の新しい入試に導入される総合問題は、これまでに形式でありながらも十分に対策が可能な試験であることがお分かりいただけたでしょうか。
基礎的な学力を確固たるものとし、グラフの読み取りや超長文への対応など形式への慣れさえ終えてしまえばかなりの高得点が狙える試験ですので、総合問題が原因で受験を躊躇している人はぜひ挑戦してみることをお勧めします!
ここまで読んでいただきありがとうございました!