近年、英語民間試験と大学受験の関係が以前よりも増して注目されています。
英検やTOEFLなど、英語民間試験にはざまざまなものがありますが、中でも日本人に馴染み深いのはTOEICなのではないでしょうか。
今回の記事では、TOEICと大学受験の関連性という観点から、
- TOEICが良ければ受験英語でもいい得点が取れるか?
- TOEICと大学受験で必要な英単語の違いは?
- TOEIC対策は大学受験対策に直結するか?
など、大学受験を控えており民間試験の活用を考えている高校生の方などに有用な情報をまとめました。ぜひご覧ください!
TOEICと大学受験の比較ー類似点・共通点
まず、大まかにTOEICと大学受験の英語の比較をしましょう。
一言で大学受験英語と言ってもさまざまな種類の英語の試験が含まれるため、今回は最もTOEICに形式が近く、最もたくさんの受験生が受ける共通テストを比較対象とします。
共通テストとTOEICは、①全てマーク式の問題で構成されており、②リーディングとリスニングの2技能が測定され、③問題量が多い、といったように、多くの共通点があります。
私大英語や国公立大英語にも通じる点はもちろんありますが、記述問題の有無や出題傾向などの点でかなり異なってきます。
TOEICと大学受験の比較ーテーマ・単語の違い
これまでで共通テストとTOEICの形式が似ていると述べましたが、当然ながら相違点も存在します。
そして、この違いはTOEICを大学受験に活用(またはその逆)をしようとしている方には非常に大事な点となってきます。
以下、重要な違いをまとめました。
・受験者層が違う=出題テーマが違う→求められる単語が違う
ご存知の通り、大学受験(共通テスト)は主に大学進学を控える高校生をターゲットに作られた試験です。そのため、出題テーマは高校以前の知識でも十分理解できる内容となっています。
ですが、TOEICは英語によるコミュニケーションとビジネス能力を測るための、大学生や社会人など幅広い受験者をターゲットとしています。
TOEICはその性質上、リスニングにおいてもリーディングにおいても、会議や問い合わせメールなどといったビジネスシーンを想定した出題が非常に多く、場合によってはそのような知識がないと解答に困るような問題もあります(ただし、大抵は必要ありません)。
こうした背景から、求められる単語力にも大きな差が出てきます。
英語を使う上で必須となるような、基礎の基礎のレベルでの英単語はTOEICでも受験でも共通していますが、多種多様なテーマを扱う受験と、ビジネスシーンなどに特化したTOEICでは明らかに方向性の違いが存在します。
前者は広範な分野に関する英単語が、後者は主にビジネスシーンで多用される英単語が求められる傾向にあります。
全体的な単語のレベルでは、TOEICは標準〜やや難関大学レベルの語彙が求められています(ただし、受験ではあまり見ないようなビジネス関連の単語が頻出であることに注意してください)。
TOEIC(大学受験)の勉強は大学受験(TOEIC)の成績アップに役立つ?
この疑問に対する答えが、最もみなさんが知りたいことでしょう。
結論から言うと、答えは「役立ちはするが、限界があり片方の成績UPに直結するわけではない」というものになります。
TOEICと大学受験(共通テスト)はお互いに共通する部分があるのは確かですが、一方でしか問われないことや必要とされる知識が多いのもまた事実です。
どちらを勉強するにしても、文法、基礎単語、初歩的な読解といった基礎レベルで通底している部分を勉強することになるため、そのうちはどちらを受験しても得点をする力が育まれるでしょう。
しかし、一定以上のレベルになると先述した細かな差異が影響して、どちらか一方の形式に合わせた対策をする必要が出てきてしまいます。
周りの受験生と差をつけるのに重要なのはそうしたハイレベルな内容ですから、別の試験対策ではそうした部分の効果がうまく発揮されません。
さらに、TOEICの大学受験での利用という観点では、そもそも受験に活用可能な制度が非常に少なく、現状ではあまり有力な民間試験とは言えません。
まとめ
片方の対策を目的としてTOEICや大学受験の勉強を行うというのは、あまり効率のいい方法であるとは言えないでしょう。
TOEICの点数が要求されるようになるのは大抵大学入学以降の場合であるため、高校生のうちに焦って挑戦する必要はそこまでありません。
しかし、片方の勉強が無駄になるというわけでは決してありません。
大学受験を終えて、晴れて大学生になりTOEICの勉強をするという方であれば、間違いなく受験で使った知識は役に立ちます。必要なのはTOEICの形式に合わせていくための対策です。
ここまで読んでいただきありがとうございました!